2015年12月6日日曜日

箸の文化 それぞれ

言うまでもなく、


日本人は箸を使う。


言うまでもなく、


中国人は箸を使う。香港人しかり、韓国人しかり。


つまり、箸を使うという点では各国は同じ文化を共有している。





だけど、少し注意して見ると、同じ箸でも結構違うことに気づく。




まず、わかりやすいのは形状。


中国の箸は太くて長い。日本人的には使いづらい。


日本の箸に比べて、物が挟みにくい。


太いので刺すこともできない(これはいいことなのかもしれないけど!)


韓国の箸は、金属で重いし平べったいし、これまた使いにくい。




とまぁ、違いがこれくらいだったらよかったんだけど。




香港に住んでみて気づいたのだが、


香港人は箸の持ち方が、なんというか、、、


日本人とは異なっている・・・というか、はっきり言えばぐちゃぐちゃ。


日本で言う、正しい持ち方で持っている人が皆無と言っていい。


最近は日本でも、正しい箸の持ち方ができる人が減っているとはいえ・・・


もはやそういうレベルではない。みんなぐちゃぐちゃ(日本人から見れば)




実は、わたくしの旦那も日本でいう正しい持ち方ではない。


でも、変な持ち方でもレベルってあると思うのだけど、


うちの旦那は、その変な持ち方のマシな方。


かつ、「彼は香港人だから」ってことでさほど気にしていなかった。






が、問題が発生したのは、彼を実家に連れて行った時。


「○○くんの箸の持ち方が間違っている」by両親


おぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・なるほど。


確かに、わたくしの家はこの手の作法に厳しい。


かくして、旦那へ正しい持ち方を教えるべしというミッションがくだった。






しかし何が難しいって、彼は正しい持ち方という概念がない。


調べてみてわかったのだが、どうやら香港では”正しい持ち方”というものが


存在しないようだ。少なくとも、日本の正しい持ち方とは違う。


30年近く、そんな概念がない中で箸を使ってきたのに、


いきなり「正しい持ち方」と言われても???となるのは当然。


ちゃんと使えているのになぜ??と思っているのがありありと見える。






両親にしてみれば、


同じ箸を使っているのだから、同じルールのもと使っているはず、という思い込み


というか、日本とは別のルールや作法があるなんて想像だにしないだろう。






とはいえ、一応両親には箸文化の違いについて説明するも、


「彼は今後も日本で、日本社会に入って暮らしていきたいのだろう。


であるなら、日本のルールに従うべき。


子供ができたらどうする?子供に正しい作法を教えられるのか。」


・・・うーん、一理あり。


確かに、わたくしも、もし友達が変な持ち方をしていたら、


あぁ、この子はそういう教育をしてもらえなかったのか・・・


なんて思ってしまうタチ。


わたしたちの子供を日本人として育てるのか、香港人として育てるのか


とか別のテーマも出てくるから、その辺はいったん置いときます。








今回の箸事件でおもしろかったのは、


同じ道具を使っているのだから、同じ概念、ルールを共有しているはず


という私の両親の(当初の)思い込みと、文化の違いを知った上での、


それでも「郷に入っては郷に従う」べしという考え方、


別の文化で外国人だから別にいーや、という私の諦め(よく言えば寛容)


の温度差。







私は、仕事上、いくつかの国の人たちと働いているけど、


相手の文化を理解した上で、自分のこだわりを諦める、ということを


日常的に頻繁に、かつあっさりやっている。


じゃないと仕事が回らないので。


それがプライベートにも影響しているのは、おそらく間違いない。


さらに言えば、香港に住んでいる日本人として、


まさに自分が異分子として受け入れてもらっている身として、


そのあたり、テキトー?寛容?になってしまうのかも。






今回の場合、両親が正しいとか私が正しいとか、


そういう話をするつもりはないけど、


ただ、これが異文化交流か・・・!なんて思ったりして


自分の問題として発生した事件として、個人的には非常に興味深かった。






今後、日本がもっと国を開いていく過程で、


こういう些細な問題ってたくさん起こると思うけど


はてさて、どうお互いを知って、理解していくのかしら。


うーん、実に興味深い。

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